- 【gRPC】Connect が作られた背景概要/これまでの gRPC-Web/Connect でできること
【gRPC】Connect が作られた背景概要/これまでの gRPC-Web/Connect でできること
https://qiita.com/SYM_simu/items/85d572e3520e98e09044 に公開している物と同じ。
はじめに
以下を読み、Connect-Web なるものの 1.0 がリリースされたことを知った(2022/8 半ばに)。
ref: gRPC がフロントエンド通信の第一の選択肢になる時代がやってきたかも?
gRPC については、Go 言語で学ぶ実践 gRPC 入門 (Udemy 講座) を通してド基礎を押さえただけの状態であったため、これを機に gRPC 関連を色々調べたため、それを記載する。
本記事では
- (簡単な) Connect が作られた背景
- gRPC 関連で調べたこと(gRPC-Web 中心)
- Connect とは
- Connect のチュートリアルを部分的&一部追加して試したこと
をまとめる。
gRPC とは? は省くが、以下が参考になる。
何故 Connect が作られたのか?
新しい物を作るということは、往々にして解決したい課題があるからと考える。以下の通り本家 gRPC には以下のような課題があったらしい。
あえて作ったのは既存の実装にいろいろ不満があるからということです。
gRPC サーバは HTTP/2 が前提となる。それに起因する課題が発生することは想像に容易いが、上記の中の「ウェブから使うにはプロキシが必要」に関して、現状に関して無知なため、ここを切り口に探ることとした。
※詳細を述べると、gRPC にはgRPC-Web という gRPC 通信を Web で使うことができるようにするためのものが既にある。Connect にも同様に Connect-Web があるが、Web から使用する部分も作り直す必要があった点に関して gRPC-Web に関して無知なため、想像が付かなかった。
そこで、ググって見つけた以下記事の内容をヒントに探り始めた。結論から言うと、以下の内容は概ね当っていると思っている。
※ このあたり理解がめちゃ浅いです RPC (Remote Procedure Call) を実現するためのプロトコルとして、gRPC があります。 このプロトコルは、ブラウザ側からは使えない(?)ため、gRPC-Web というブラウザ向けの gRPC というものを使うことになります。 その場合、ブラウザとサーバーとの間に、プロキシを建てる必要があるようです。(たぶん) そこで、Connect という gRPC 互換の HTTP API を構築するためのライブラリ群が開発されました。 これのおかげで、プロキシを建てる必要がなく、ブラウザ側から gRPC を使うことが可能になります。
ref : connect-web やってみた (Zenn)
その根拠を順を追って記載する。
gRPC-Web とは
そもそも gRPC-Web ができた背景は以下の通り。
gRPC は Google が公開している RPC 方式で、Protocol Buffers と HTTP/2 をベースにしたバイナリプロトコル
ブラウザは HTTP/2 に対応していないブラウザもまだまだ現役でたくさんいますし、バイナリを扱うのが苦手
ブラウザでも利用できる gRPC-Web という新しいプロトコルを作り、gRPC-Web を gRPC に変換する proxy 層を介して通信することで、gRPC の旨味をブラウザでも利用できるようにする、というのが gRPC-Web
ref: gRPC-Web を利用したクライアント・サーバー間の通信
Github リポジトリの README にも記載がある通り、gRPC-Web を gRPC に変換する proxy 層 が必要とだけ記載されている。
gRPC-web クライアントは、特別なプロキシ経由で gRPC サービスに接続します。デフォルトでは、gRPC-web は Envoy を使用します。
ref: gRPC Web (Github - README.md)
proxy 層が必要な理由
では、なぜプロキシを挟む必要があるのか?
理由は以下の通りと思われる。
- ブラウザーで実行されている JavaScript では、HTTP2 を完全に制御することはできません。
- gRPC プロトコルは、JavaScript では制御できない HTTP/2 の機能を使用します。
- そして、制限が解除されることはないと思います。
- ブラウザーは、HTTP 2 経由で web サーバーと通信できる場合は HTTP 2 を使用するが、それ以外の場合は(勝手に)HTTP/1.1 にフォールバックする。
- 上位に位置する Web アプリケーション(恐らくフロントエンド)が下位(恐らくサーバサイド)で使われているのが HTTP/2 なのか、あるいは HTTP/1.1 なのかを認識できないし、意識するべきではない(HTTP/1.1 と HTTP2 を透過的に処理できる必要がある)
- (故に) HTTP2 でのみ使用可能な機能を JavaScript で制御する方法がブラウザに提供されることはない
(翻訳機和訳含む)
refs:
要約すると、ブラウザは HTTP/1.1 を使うか HTTP/2 を使うかをブラウザを使用する人には意識させず、透過的に処理する。HTTP/2 を指定して使うといった制御は JavaScript ではできない、かつ(HTTP/1.1 と HTTP2 を透過的に処理できる必要があるため)今後も JavaScript で制御する方法は提供されないだろう。だが、gRPC サーバへの送信 は HTTP/2 で行う必要がある。(といった所でしょうか)
※こちらも参考になるかと思われる ⇒ ブラウザで HTTP/2 ストリーム接続を実装するには? (stackoverflow)
また、gRPC は HTTP トレーラー(trailer) を多用するが、Web ブラウザーを含む 多くの HTTP 実装は、まだトレーラーをサポートしていない。gRPC-Web では、応答本文の末尾にトレーラーをエンコードして付与することでその問題を解決しているとのこと。
refs:
gRPC-Web のソースを追う
以下個人的に 2 点気になった点を、実際のソースを追って、gRPC-Web の仕組みの一端を確認してみる。
- 応答本文の末尾にトレーラーをエンコードして付与(※実際のコードを見てから信じる)
以下より、ストリーミング受信時は応答本文(responseText)から trailer を取り出していることが分かる(該当ソース一部抜粋。ここ以外にもあるかもしれないが)
class GrpcWebClientReadableStream { // : 省略 const self = this; events.listen(this.xhr_, EventType.READY_STATE_CHANGE, function(e) { // 138行目 // : 省略 let byteSource; if (googString.startsWith(contentType, 'application/grpc-web-text')) { // Ensure responseText is not null const responseText = self.xhr_.getResponseText() || ''; const newPos = responseText.length - responseText.length % 4; const newData = responseText.substr(self.pos_, newPos - self.pos_); if (newData.length == 0) return; self.pos_ = newPos; byteSource = googCrypt.decodeStringToUint8Array(newData); } else if (googString.startsWith(contentType, 'application/grpc')) { byteSource = new Uint8Array( /** @type {!ArrayBuffer} */ (self.xhr_.getResponse())); } else { // : 省略 } let messages = null; try { messages = self.parser_.parse(byteSource); } catch (err) { // : 省略 } if (messages) { const FrameType = GrpcWebStreamParser.FrameType; for (let i = 0; i < messages.length; i++) { // : 省略 if (FrameType.TRAILER in messages[i]) { // 187行目 if (messages[i][FrameType.TRAILER].length > 0) { let trailerString = ''; for (let pos = 0; pos < messages[i][FrameType.TRAILER].length; pos++) { trailerString += String.fromCharCode(messages[i][FrameType.TRAILER][pos]); } const trailers = self.parseHttp1Headers_(trailerString); // : 省略 } } } } }); // : 省略 }
- リクエスト送信方法
this.xhr の実態が何か(xhr = xmlHttpRequest なのか?)念のため更にソースを辿ると
// : 省略 const XhrIo = goog.require("goog.net.XhrIo"); // : 省略 class GrpcWebClientBase { // : 省略 startStream_(request, hostname) { // 183行目 const methodDescriptor = request.getMethodDescriptor(); let path = hostname + methodDescriptor.getName(); const xhr = this.xhrIo_ ? this.xhrIo_ : new XhrIo(); // ★ xhr.setWithCredentials(this.withCredentials_); const genericTransportInterface = { xhr: xhr, // ★ }; const stream = new GrpcWebClientReadableStream(genericTransportInterface); // : 省略 } // : 省略 }
google/closure-library (Github)に含まれるXhrIo に行き着いたため、それも見に行った。
goog.net.XhrIo.prototype.createXhr = function () { "use strict"; return this.xmlHttpFactory_ ? this.xmlHttpFactory_.createInstance() : goog.net.XmlHttp(); };
// 27行目~ goog.net.XmlHttp = function () { "use strict"; return goog.net.XmlHttp.factory_.createInstance(); }; // 146行目~ goog.net.XmlHttp.setGlobalFactory = function (factory) { "use strict"; goog.net.XmlHttp.factory_ = factory; }; // 159行目~ goog.net.DefaultXmlHttpFactory = function() { 'use strict'; goog.net.XmlHttpFactory.call(this); }; goog.inherits(goog.net.DefaultXmlHttpFactory, goog.net.XmlHttpFactory); /** @override */ goog.net.DefaultXmlHttpFactory.prototype.createInstance = function() { 'use strict'; const progId = this.getProgId_(); if (progId) { return new ActiveXObject(progId); // ActiveX…だと… } else { return new XMLHttpRequest(); // ★ } // 250行目~ // Set the global factory to an instance of the default factory. goog.net.XmlHttp.setGlobalFactory(new goog.net.DefaultXmlHttpFactory());
gRPC-Web では概ね XMLHttpRequest を使用して送受信を行っていると思われる(※辿り方を間違えていなければ。実は fetch api を使用している箇所もあるが現時点では実験的機能であった。)
※ レスポンスをデコードする仕組みに関しては、以下が参考になると思われる。
ref: gRPC-web がどのようにリクエストをシリアライズしているのか
Envoy Proxy & gRPC-gateway
簡単に触れておく。
Enovy とは
Nginx と似た機能を持つ OSS で、マイクロサービスに対応するため、サービス間のネットワーク制御をライブラリとしてではなく、ネットワークプロキシとして提供することを目的に開発
ref: Envoy Proxy を始めてみよう
Envoy はクライアント →Envoy、Envoy→ バックエンドサーバ間の両方とも HTTP/2 と gRPC をサポートしている。
また gRPC-Web 用のフィルターがあり、これにより gRPC-Web(クライアント) から gRPC サーバへの通信が可能と思われる。
gRPC-Web は、 gRPC-Web クライアントが HTTP/1.1 経由で Envoy にリクエストを送信し、gRPC サーバーにプロキシされることを可能にするフィルターによってサポートされています。 (翻訳機和訳)
ref: enovy - gRPC
それ以外にも、マイクロサービスにおいて発生する様々な問題を取り扱うことができるとのこと。
refs:
Enovy 以外の選択肢として gRPC-gateway というものもある。gRPC-gateway とは HTTP JSON API リクエストを gRPC に変換して gRPC サーバーへプロキシできるものである。両者には以下の差異がある。
gRPC に関する Enovy や gRPC-gateway については以下が参考になるかと思われる。
ref:
- Envoy: gRPC
- ZOZOSUIT から ZOZOMAT へ - Envoy gRPC-JSON transcoder による部分的モダン化の実践
- grpc-gateway で gRPC と REST 両対応のサーバを作る
- gRPC 完全に理解した
- [gRPC-Gateway, Envoy] gRPC と REST を繋げたい時に...
補足
Github の README にある通り、gRPC-Web がサポートするのは以下 2 つのため、クライアントストリーミング RPC と双方向ストリーミング RPC は未対応。
gRPC-web currently supports 2 RPC modes:
- Unary RPCs
- Server-side Streaming RPCs
ref: gRPC-Web - Streaming Support
理由は、gRPC-Web に proxy 層が必要な理由と概ね同じである。HTTP/1.1 はストリーミング受信はできるが、ストリーミング送信を行うには HTTP/2 である必要があるため。
Connect とは
Connect についての詳細は以下の通り。
Connect は、ブラウザや gRPC 互換の HTTP API を構築するためのライブラリ群です。短い Protocol Buffer スキーマを記述し、アプリケーションロジックを実装すると、 Connect がマーシャリング、ルーティング、圧縮、コンテントタイプネゴシエーションを処理するコードを生成します。また、サポートされているあらゆる言語で、慣用的なタイプセーフなクライアントが生成されます。
ref: Connect Docs - Introduction
新しい Connect プロトコルは、HTTP/1.1 または HTTP/2 で動作する、シンプルな POST プロトコルです。ストリーミングを含む gRPC と gRPC-Web の最良の部分を取り込み、ブラウザ、モノリス、マイクロサービスにおいて同様に動作するプロトコルにパッケージ化しました。Connect プロトコルは、私たちが考える gRPC プロトコルのあるべき姿です。デフォルトでは、JSON とバイナリでエンコードされた Protobuf がサポートされています。(翻訳機和訳)
ref Connect Docs - Use the gRPC protocol instead of the Connect protocol
Connect の凄い所を一言で表すと、これまでフロント/サーバ間の gRPC 通信には、proxy 層が必須だったところを HTTP/1.1,HTTP/2 に捕らわることなく、フロント/サーバ間の gRPC 通信が可能になったことではないかと思われる。
特徴をまとめると、
- Connect は、独自のプロトコル(HTTP/1.1 と HTTP/2 で動作する簡単で POST のみのプロトコル)をサポートすることで、HTTP/1.1 でも利用可能とした (※)
- Connect は、ストリーミングを含む gRPC および gRPC-Web プロトコルをサポート
gRPc/gRPC-Web プロトコルをサポートしていることから、以下のような構成が可能と思われる(実際に試したわけではないため推測の域)。そのため、既に gRPc/gRPC-Web を使用しているシステムでクライアント/サーバ片側だけ Connect に入れ替えてひとまず gRPc/gRPC-Web を使うといったことも可能なように読み取れる。つまり、サーバ側だけ移行/フロント側だけ移行といった片側ずつ移行するといった段階移行も可能に思われる。
※ 間に置いている Proxy を除けるかは、gRPC-Web ⇔ gRPC の変換以外の役割を持たせているかによる
また、ドキュメントには以下の通りの記載されているため、信頼性/安定性 に重きを置いていることが伺える。
Connect は、私たちの考えるプロダクショングレードの RPC です。なぜなら、誰も複雑なネットワークのデバッグや、100 もの難解なオプションを吟味している時間はないからです。
その下には、プロトコルバッファと net/http、fetch、URLSession、または HTTP のためのあなたの言語のゴールドスタンダードがあるだけです。
何よりも、Connect は安定しています。私たちは後方互換性を非常に重視しており、安定版リリースのタグを付けた後にあなたのビルドを壊すことは決してありません。
(翻訳機和訳)
Connect-Web
gRPC における gRPC-Web と同様の位置づけのもの。
Connect-Web は、Web ブラウザからリモートプロシージャ(RPC)を呼び出すための小さなライブラリです。REST とは異なり、タイプセーフなクライアントが得られ、シリアライゼーションについて考える必要はもうない。
ref: https://connect.build/docs/web/getting-started
gRPC-Web 同様、gRPC の通信方式でサポートしているのは以下2つ。理由ももちろん gRPC-Web と同じ。
- Unary RPCs
- Server-side Streaming RPCs
ref: Connect Docs - FAQ - Is streaming supported?
Connect-Web のソースを追う
Connect-Web についても、2 点気になった点+α を探った。
- gRPC の通信方式のうちサポートしている対象
最初は公式ドキュメント上に gRPC の通信方式のうちサポートしている対象についての記載があることに気づかず、サポート範囲はどうなっているのか? Web ブラウザの制約がある以上、gRPC-Web と同じでは?それとも違うのか?と疑問を抱き、実際のコードを確認した。そしてチュートリアルでも登場する以下関数の内容から、その根拠を得た。
export function createPromiseClient<T extends ServiceType>( service: T, transport: Transport ) { return makeAnyClient(service, (method) => { switch (method.kind) { case MethodKind.Unary: return createUnaryFn(transport, service, method); case MethodKind.ServerStreaming: return createServerStreamingFn(transport, service, method); default: return null; } }) as PromiseClient<T>; }
- リクエスト送受信方法
gRPC-Web では 主に XmlHttpRequest を使用して送受信を実現していたが、Connect-Web についてはどう実現しているかを探った。結論から言うと、Connect-Web は、fetch を使用して、リクエストの送受信を行っている。
fetch は、受け取ったレスポンスに対して、response.body とするだけで Stream として扱うことができる模様。
ref: mdn web docs - 読み取り可能なストリームの使用
fetch("./tortoise.png").then((response) => response.body); // response.body の型: ReadableStream<Uint8Array>
Connect-Web でも、Server-Side Streming RPC にて、上記が使用されている。
async (unaryRequest: UnaryRequest<I>): Promise<StreamResponse<O>> => { const response = await fetch(unaryRequest.url, { ...unaryRequest.init, headers: unaryRequest.header, signal: unaryRequest.signal, body: createConnectRequestBody( unaryRequest.message, method.kind, useBinaryFormat, options.jsonOptions ), }); // : 省略 const reader = createEnvelopeReadableStream( response.body // ★ ).getReader();
export function createEnvelopeReadableStream( stream: ReadableStream<Uint8Array> ): ReadableStream<EnvelopedMessage> { let reader: ReadableStreamDefaultReader<Uint8Array>; let buffer = new Uint8Array(0); function append(chunk: Uint8Array): void { const n = new Uint8Array(buffer.length + chunk.length); n.set(buffer); n.set(chunk, buffer.length); buffer = n; } return new ReadableStream<EnvelopedMessage>({ start() { reader = stream.getReader(); // ★ },
- trailer に関して
Server-Side Streaming RPC の場合、こちらも応答本文の末尾に付けているようである。
// 省略 const reader = createEnvelopeReadableStream(response.body).getReader(); let endStreamReceived = false; return <StreamResponse<O>>{ stream: true, service, method, header: response.headers, trailer: new Headers(), async read(): Promise<ReadableStreamReadResultLike<O>> { const result = await reader.read(); if (result.done) { if (!endStreamReceived) { throw new ConnectError("missing EndStreamResponse"); } return { done: true, value: undefined, }; } if ( (result.value.flags & endStreamResponseFlag) === endStreamResponseFlag ) { endStreamReceived = true; const endStream = endStreamFromJson(result.value.data); endStream.metadata.forEach( (value, key) => this.trailer.append(key, value) // ★ ); if (endStream.error) { throw endStream.error; } return { done: true, value: undefined, }; } // 省略 }, };
- +α:チュートリアルでも使用する createConnectTransport を見て気づいた点
export function createConnectTransport( options: ConnectTransportOptions ): Transport { assertFetchApi(); const useBinaryFormat = options.useBinaryFormat ?? false;
1. 以下の通り、Connect-Web は fetch API が使えることが前提となっている。
export function assertFetchApi(): void { try { new Headers(); } catch (_) { throw new Error( "connect-web requires the fetch API. Are you running on an old version of Node.js? Node.js is not supported in Connect for Web - please stay tuned for Connect for Node." ); } }
2. 送信データは、json 形式と binary 形式を選択可能
const useBinaryFormat = options.useBinaryFormat ?? false;
上記の変数は以下の通り、リクエストボディ生成時などに使用される。
※ Web ブラウザでは、送信される内容を簡単に追跡できるため、JSON 形式の仕様が推奨するとのこと。
ref: https://connect.build/docs/web/choosing-a-protocol#connect
function createConnectRequestBody<T extends Message<T>>( message: T, methodKind: MethodKind, useBinaryFormat: boolean, jsonOptions: Partial<JsonWriteOptions> | undefined ): BodyInit { const encoded = useBinaryFormat ? message.toBinary() : message.toJsonString(jsonOptions); if (methodKind == MethodKind.Unary) { return encoded; } const data = typeof encoded == "string" ? new TextEncoder().encode(encoded) : encoded; return encodeEnvelopes( { data, flags: 0b00000000, }, { data: new Uint8Array(0), flags: endStreamResponseFlag, } ); }
fetch api についての補足
fetch api ができたのは 2015 年。それ以前からストリーミングは、XMLHttpRequest を使用すれば技術的には可能であった(故に gRPC-Web での Server-Side Streaming RPC のサポートが実現できている)。ただし綺麗ではないらしいため、シンプルに済むのは fetch の利点の一つと言えるかと思われる。
ref: Streams—The definitive guide
fetch api ではストリーミング送信も可能であるが、HTTP/2 である必要がある。
ref: Streaming requests with the fetch API
Connect チュートリアル + α
Connect のドキュメントに沿いつつ、気になった部分も多少追加して試した。その過程や Connect でできることなどを記載する。
先に作成したもの:https://github.com/Symthy/gRPC-practices/tree/main/connect-try
ドキュメント通りの部分は部分的に省略。
connect-go (サーバサイド)
初期構築
mkdir connect-go-example cd connect-go-example go mod init example go install github.com/bufbuild/buf/cmd/buf@latest go install github.com/fullstorydev/grpcurl/cmd/grpcurl@latest go install google.golang.org/protobuf/cmd/protoc-gen-go@latest go install github.com/bufbuild/connect-go/cmd/protoc-gen-connect-go@latest
コード生成
サービスを定義
mkdir -p greet/v1 touch greet/v1/greet.proto
buf.yaml 生成~コード自動生成
buf mod init // buf.gen.yaml を生成してから以下実施 buf lint buf generate
※ buf.gen.yaml に関しては Buf Docs を参照
※ buf.gen.yaml の path の項目は、使用 OS にパスセパレータを合わせないと buf generate が失敗するため注意が必要
ドキュメントのコードをそのまま実装すれば、curl でリクエストを送ってレスポンスが返ってくる(感動)
$ curl \ --header "Content-Type: application/json" \ --data '{"name": "Jane"}' \ http://localhost:8080/greet.v1.GreetService/Greet {"greeting":"Hello, Jane!"}
ルーティング
通常の API との併用も可能である。
※ Connect-Web を用いて実装したクライアントと連携するには CORS の対応が必要なため忘れずに
api := http.NewServeMux() path, handler := greetv1connect.NewGreetServiceHandler(&server.GreetServer{}) api.Handle(path, handler) mux := http.NewServeMux() // mux.Handle(path, handler) mux.Handle("/hello", helloHandler{}) // {"message":"hello world"} を返すだけのHandler mux.Handle("/connect/", http.StripPrefix("/connect", api)) corsHandler := cors.AllowAll().Handler(h2c.NewHandler(mux, &http2.Server{})) http.ListenAndServe( "localhost:8080", corsHandler, )
$ curl --header "Content-Type: application/json" --data '{"name": "Jane"}' http://localhost:8080/connect/greet.v1.GreetService/Greet {"greeting":"Hello, Jane!"} $ curl http://localhost:8080/hello {"message":"hello world"}
ERROR
エラーコードとの対応については以下を参照
実際のエラーレスポンスの例
- connect.CodeInvalidArgument
$ curl --header "Content-Type: application/json" --data '{"name": ""}' http://localhost:8080/connect/greet.v1.GreetService/Greet {"code":"invalid_argument","message":"No name specified for greeting"}
- connect.CodeUnknown
$ curl --header "Content-Type: application/json" --data '{"name": "error"}' http://localhost:8080/connect/greet.v1.GreetService/Greet {"code":"unknown","message":"invalid name"}
実際のコードは以下のような形
func (s *GreetServer) Greet( ctx context.Context, req *connect.Request[greetv1.GreetRequest], ) (*connect.Response[greetv1.GreetResponse], error) { log.Println("Request headers: ", req.Header()) if err := ctx.Err(); err != nil { return nil, err // automatically coded correctly } if err := validateGreetRequest(req.Msg); err != nil { return nil, connect.NewError(connect.CodeInvalidArgument, err) } greeting, err := doGreetWork(ctx, req.Msg) if err != nil { return nil, connect.NewError(connect.CodeUnknown, err) } res := connect.NewResponse(&greetv1.GreetResponse{ Greeting: greeting.String(), }) res.Header().Set("Greet-Version", "v1") return res, nil }
Interceptors
Interceptor とは
- ミドルウェアまたはデコレータに似たもの。Connect を拡張するための主要な方法
- コンテキスト、要求、応答、およびエラーを変更可能。また、ロギング、メトリック、トレース、再試行などの機能を追加するためによく使用するもの
ドキュメント の NewAuthInterceptor を実装:https://connect.build/docs/go/interceptors 概要:トークンヘッダー Acme-Token があるリクエストのみを通す。それがない場合はエラー
動作:
- トークンヘッダーなし
$ curl --header "Content-Type: application/json" --data '{"name": "Jane"}' http://localhost:8080/connect/greet.v1.GreetService/Greet {"code":"unauthenticated","message":"no token provided"}
$ go run cmd/client/main.go unauthenticated: no token provided
- トークンヘッダーあり
$ curl --header "Content-Type: application/json" -H "Acme-Token: test" --data '{"name": "Jane"}' http://localhost:8080/connect/greet.v1.GreetService/Greet {"greeting":"Hello, Jane!"}
$ go run cmd/client/main.go Hello, Jane!
Streaming
ストリーミングをサポートするには、完全な Interceptor インターフェースを実装する必要がある。
詳細はドキュメントを参照:https://connect.build/docs/go/streaming
greet.proto に 定義を追加し、buf generate
service GreetService { rpc Greet(GreetRequest) returns (GreetResponse) {} rpc GreetByClientStreaming(stream GreetRequest) returns (GreetResponse) {} rpc GreetByServerStreaming(GreetRequest) returns (stream GreetResponse) {} }
Client-Side Streaming RPC
- Client 側
clientStream := client.Greet( context.Background(), ) clientStream.Send(&greetv1.GreetRequest{Name: "Verstappen"}) clientStream.Send(&greetv1.GreetRequest{Name: "Hamilton"}) clientStream.Send(&greetv1.GreetRequest{Name: "Leclerc"}) res2, err := clientStream.CloseAndReceive() if err != nil { log.Println(err) return } fmt.Println(res2.Msg.Greeting)
- Server 側
func (s *GreetServer) GreetStream( ctx context.Context, stream *connect.ClientStream[greetv1.GreetRequest], ) (*connect.Response[greetv1.GreetResponse], error) { var greeting strings.Builder for stream.Receive() { g := fmt.Sprintf("Hello, %s!\n", stream.Msg().Name) if _, err := greeting.WriteString(g); err != nil { return nil, connect.NewError(connect.CodeInternal, err) } } if err := stream.Err(); err != nil { return nil, connect.NewError(connect.CodeUnknown, err) } res := connect.NewResponse(&greetv1.GreetResponse{ Greeting: greeting.String(), }) return res, nil }
- 出力
$ go run cmd/client/main.go Hello, Verstappen! Hello, Hamilton! Hello, Leclerc!
Server-Side Streaming RPC
- Client 側
res, err := client.GreetByServerStreaming( context.Background(), connect.NewRequest(&greetv1.GreetRequest{Name: "SYM"}), ) if err != nil { fmt.Println(err) return } for res.Receive() { fmt.Println(res.Msg().GetGreeting()) // fmt.Printf("trailer: %v\n", res3.ResponseTrailer()) } // fmt.Printf("trailer: %v\n", res3.ResponseTrailer())
- Server 側
func (s *GreetServer) GreetByServerStreaming( ctx context.Context, req *connect.Request[greetv1.GreetRequest], streamRes *connect.ServerStream[greetv1.GreetResponse], ) error { // streamRes.ResponseTrailer().Set("Greet-Version", "v1") strs := strings.Split(req.Msg.Name, "") for i, str := range strs { greeting := "greeting " + strconv.Itoa(i+1) + " : " + str res := &greetv1.GreetResponse{ Greeting: greeting, } streamRes.Send(res) } return nil }
出力
$ go run cmd/client/main.go greeting 1 : S greeting 2 : Y greeting 3 : M
補足 (HTTP Trailer について)
上記 Server-Side Streaming RPC のソースのコメントアウト部分を外し動作させると以下の通りの出力となる。
HTTP trailer は、終端子のようなもののため、期待通りメッセージ全てを受け取ってから送られてくることが確認できた。
greeting 1 : S trailer: map[] greeting 2 : Y trailer: map[] greeting 3 : M trailer: map[] trailer: map[Greet-Version:[v1]]
connect-web (フロントエンド)
初期構築
npm create vite@latest -- connect-web-example --template react-ts cd connect-web-example npm install
コード生成
remote generation
Buf Schema Registry (BSR) の機能であるリモート生成を使用することが可能である。
// 対象: https://buf.build/bufbuild/eliza npm config set @buf:registry https://npm.buf.build npm install @buf/bufbuild_connect-web_bufbuild_eliza
BSR 上に登録されている Buf スキーマをからファイルを生成し、必要なすべての依存関係を持つパッケージとして提供してくれるとのこと。
Buf Schema Registry (BSR) の特徴は以下の通り。
- Github や DockerHub の Protcol buffer 版のようなイメージ
- Protocol Buffers を使用するためには、使用する言語ごとにコードを生成する必要がある ⇒ この手間を解消する リモートコード生成機能がある
- 標準のパッケージマネージャーとビルドツールを使用して Protobuf 定義から生成されたコードを直接インストール可能
- JavaScript、TypeScript、Go のリモートコード生成をサポート(npm/yarn/go module 等でインストール可能)
- ローカルでコード生成する必要がないため、ワークフローからのコード生成を排除したり、protoc プラグインのような実行時の依存関係を維持する必要がなくなる
ref: Buf Docs - Remote generation
Connect for Web - Getting started のコードを実装して
local generation
ローカル生成も可能:https://connect.build/docs/web/generating-code
npm install --save-dev @bufbuild/protoc-gen-connect-web @bufbuild/protoc-gen-es npm install @bufbuild/connect-web @bufbuild/protobuf
docs にある内容で buf.gen.yaml 作成して buf generate
Using clients
以下クライアントが用意されている。
- Promise ベース
- Callback ベース
- ※既存のコードを gRPC-web から Connect-Web に移行する場合に特に便利とのこと。
詳細はドキュメント参照:https://connect.build/docs/web/using-clients
(ドキュメントにも記載ある通り)React にてクライアントのインスタンス生成の繰り返しを避けたい場合は、以下のようにすれば良いとのこと。
import { useMemo } from "react"; import { ServiceType } from "@bufbuild/protobuf"; import { CallbackClient, createCallbackClient, createConnectTransport, createPromiseClient, PromiseClient, } from "@bufbuild/connect-web"; const transport = createConnectTransport({ baseUrl: "https://demo.connect.build", }); export const usePromiseClient = <T extends ServiceType>( service: T ): PromiseClient<T> => { return useMemo(() => createPromiseClient(service, transport), [service]); }; export const useCallbackClient = <T extends ServiceType>( service: T ): CallbackClient<T> => { return useMemo(() => createCallbackClient(service, transport), [service]); };
どちらのクライアントも適さない場合は、独自のクライアントも作成可能とのこと。そのための便利なユーティリティもあり、詳細はpromise-client.tsを参照とのこと。
実装&起動
ドキュメントのコードの通りに実装して起動。
コード: https://connect.build/docs/web/getting-started
npm run dev
実行結果
- Unary RPC
- Server-Side Streaming RPC
エラー出力
詳細はドキュメント参照:https://connect.build/docs/web/errors
以下のようなコンポーネントを作成してエラー表示を試した。
import { codeToString, ConnectError } from "@bufbuild/connect-web"; type ConnectErrorViewProps = { err?: ConnectError; }; export const ConnectErrorView = ({ err }: ConnectErrorViewProps) => { console.log("lood error view"); const isError = !!err; const errorMessage = isError ? `Code: ${err.code} - ${codeToString(err.code)} | Message: ${ err.rawMessage }` : ""; return ( <> {isError && ( <div> <span style={{ color: "red" }}>{`[Error]`} </span> <span>{errorMessage}</span> </div> )} </> ); };
※ チュートリアルで使用する ELIZA がエラーレスポンスを返す条件不明(空文字を送信しても正常応答する)のため、connect-go を使用して作成したサーバサイドに空文字送信した場合はエラーを返す実装を追加して試した。
おわりに
connect-go は v1.0 になるらしいが、未だなっていない(2022/9 半ば:v0.4)ため、様子見が必要かもしれないが、connect-web は v1.0 であり、Connect 自体が信頼性/安定性に重きを置いている点から、選択肢足りえると考える。 Connect により、Web ブラウザで、gRPC を使用する敷居がぐんと下がることは確実に思われる。